Lady Green English Salon

英語講師LadyGreenのブログ。現在、翻訳スクール通学中。英語のことを中心に、色々と書き綴っています。

本当の桜の色 

先日紹介した本『色を奏でる』。
桜の染色についてまた別のエピソードがあります。

ある時、著者がとある小さな中学校から、
「桜の色を是非染めたいので、うちに来てくれませんか」
という内容の手紙を受け取ります。
ちょうどそちらの方に出向く用事があったので、
彼女はその山の中にある小さな中学校を訪れ、
その山の桜の木の枝から色を染めるのです。

生徒達の見守る中、彼女は桜の液につけた糸をそっと引き上げます。
すると、美しい桜色に染まるはずの糸は、赤味を帯びた黄色に染まっていました。
がっかりする生徒達。
一人の生徒が彼女にたずねます。
「本当の桜はどんな色ですか」と。
とっさに彼女の口をついて出たのは
「これが桜の色です。この山の桜の色です」という言葉でした。

桜だからきっとピンク色に違いない、と私達は思ってしまいますが、
その山の中の桜が染めたのは黄色でした。
でも、それもまた紛れもない桜の色なのです。
それは自然が発する色で、私達はただそれに従うしかありません。

その物が本来持っている色がある。
私達はただその色を見、色の声に耳を傾けていく必要がある。

なのに、私達は自分勝手に色を求めていないでしょうか。
とっても綺麗なイエローを持っている人に、ピンクであることを要求していないでしょうか。
相手を自分の望む通りの色に染めようとしていないでしょうか。
その人が本来持っている色をちゃんと見て、その声を聞いているでしょうか。

まるで化学染料のように、自分の思うがままに色を染め上げられる、
そんな驕りを私達はいつの間にか身に付けてしまっているかもしれません。
でも、自然が持つ色、人が持つ色を、自分勝手にコントロールすることは出来ません。
今一度、自然に還って、その物が本来持つ色をもっと謙虚に見つめ、受け入れていくことが
必要なのではないか、そんなことを考えさせられるエピソードでした。
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